今あなたが見ているこのページの配色・書体・構成は、 複数のAIに議論させ、その結論を人間が選び取って作ったものです。 「AIっぽさを消す」ために、あえてAIをどう使ったか——という記録。
- 黒×ネオン緑の旧デザインは、実はAI生成デザインの典型パターンだった
- 4体のAIに異なる立場で設計案を出させ、別のAIに批評させ、最後は人間が判断
- 3つのAI典型を全部避け、明朝×真鍮の固有デザインに着地した
このサイトを、先日フルリニューアルした。ただ作り替えただけならわざわざ書かないのだけれど、 やり方そのものが、普段自分が請けている仕事(生成AIを実務にどう落とすか)の縮図 になったので、記録に残しておく。
お題は2つだった。「副業の相談が来るサイトにする」と、 「AIが吐いたような画一的な雰囲気を消す」。 そして皮肉なことに、その2つ目を達成するために、AIをかなり本気で使った。
1. 出発点:前のデザインは「AIっぽさ」の見本だった
リニューアル前のこのサイトは、黒背景にネオングリーンのアクセント、
全面モノスペースフォント、セクション見出しに // のコメント記号——
という、いわゆる「開発者ポートフォリオ」風の見た目だった。自分では気に入っていた。
ところが、デザインの評価に使ったある指針にこう書いてあった。 今の生成AIが吐くデザインは3つの型に集中する、と。そのうちの1つが 「ほぼ黒の背景に、単一の鮮烈なアシッドグリーンか朱色のアクセント」。 ——前のサイト、まさにこれだった。
「自分の趣味」だと思っていた見た目が、実は「AIが最も量産する型」の一つだった。
つまり、この見た目を磨いても「AI感」は消えない。型そのものから降りる必要がある。 ここが今回の出発点になった。
2. どう作ったか:AIに「1人で作らせない」
ここで普通にAIへ「いい感じにリデザインして」と頼むと、 また別の量産テンプレが出てくるだけだ。だからやり方を変えた。
4体のAIエージェントに、それぞれ違う立場を割り当てて設計案を出させた。 「記事を主役にした誌面型」「発注者目線の信頼重視型」「独自ブランド型」、 そして「今のダークテーマを捨てずに洗練させる型(=あえて反対意見)」。 1つの正解を出させるのではなく、異なる思想をぶつけさせた。
さらに、出てきた各案を別のAIに辛口で批評させた。 「本当に問い合わせに繋がるか」「本当にAI感が無いか、それとも別のテンプレに乗り換えただけか」を、 発注者と厳しいディレクターの視点で採点させる。ここまでを自動で並列に回した。
そして最後の統合と決定は、人間(と、司令塔役の上位モデル)がやった。 ここが肝だ。AIに全部を委ねず、選択と責任は人間が持つ。 この「AIに広く議論させて、人間が判断する」構図こそ、今回いちばん伝えたい部分だ。
3. 議論から出た、いちばん効いた判断
批評フェーズで、全案に共通する落とし穴が浮かび上がった。 どの案も、放っておくと「別のAIテンプレ」に化けるということ。
- 誌面型は、洒落たニュースレター風というもう一つの量産トレンドに化ける
- 独自ブランド型が出してきた「生成りの紙+明朝+朱色」は、3つのAI典型のうちの別の1つそのものだった
- ダーク継続型は、装飾を削っても配色とフォントの「指紋」が残る
そこで決めた方針が、「3つのAI典型を全部避ける」。 黒×ネオン緑でも、クリーム×明朝でも、新聞風の細罫でもない場所に立つ。 具体的にはこうした。
- 配色:純黒でも紙でもない「インクスレート」(
#15171c)に、温かいオフホワイト、そして単一の真鍮色(#c9a45f)だけ。緑も朱も使わない。 - 書体で勝負する:見出しに和文の明朝体を入れ、データ部分の等幅フォントとわざと衝突させた。開発者サイトで明朝はほとんど見ない=「指紋」から外れる。大胆さはここ一点に集中させ、他は静かに保つ。
- 嘘の信号を捨てる:前サイトにあった「available for work」の点滅ドットのような“それっぽい演出”をやめ、代わりに最終更新日と記事本数をビルド時に実データから出す。飾りではなく、本当に動いている証拠だけを置く。
4. 「相談が来る」ための地味な工夫
見た目と並行して、受注導線も手を入れた。派手さより、 発注する側が知りたいことへ最短で着くことを優先した。
- 4つのサービスは、主力を大きく見せ、各項目の先頭に「向いている人」を置いてスキャンしやすく
- 料金の目安を隠さず、明快に
- 「よくある相談」は、クリックするとその件名が入ったメールが開くようにした(書き出しの手間をゼロに)
- 各記事の末尾に、そっと相談窓口を置いた(検索で記事に来た人を取りこぼさないように)
5. この記事自体が、デモです
ここまで読んで気づいたかもしれないが、 この文章が置かれているページのデザインそのものが、今回の議論の結論だ。 明朝の見出し、真鍮のアクセント、インクの背景——全部その成果物の上に乗っている。
自分が請けているのは、まさにこういう仕事だ。 「生成AIをどう実務に落とすか」を、動くもので示すこと。 今回のように、AIに広く選択肢を出させ、批評させ、最後は人間が判断して1つの形にする—— この進め方は、Webサイトに限らず、社内の調査・比較検討・PoCにもそのまま効く。
もし「うちでも生成AIをこういう風に業務へ使ってみたい」とか、 「AIっぽくない、ちゃんと考えて作られたサイトがほしい」と感じたら、 下のフォームから気軽に声をかけてほしい。要件が固まっていなくても、 「こういうことできる?」の一言からで大丈夫です。
作ったものは、いつでもこの目で確かめられる場所に置いてあります—— fecot.net のトップが、そのまま今回の答えです。